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I've in BUDOKAN 2009 〜Departed to the future〜


“I've in BUDOKAN 2009 〜Departed to the future〜”Main report

 まず始めにライブのレポートというより、ライブを終えての個人的感想文であることをお断りしておきます。


 “原点回帰”、そして“未来へと羽ばたいていく”。これが今回のライブのテーマである。私は I've のファーストアルバム『regret』を聞いたときの衝撃から、未だにこうして I've のファンを続け、ファンサイトも立ち上げ細々と運営を続けている。
 しかし、正直なところここ数年は印象に残る曲が少なかったのは事実だ。それでも中にはいい曲はあったし、いつかまた初期の熱い想いが伝わってくる曲が聴ける時が来る事を願いつつファン活動を続けてきた。それだけに、今回のテーマである“原点回帰”には嫌がおうにも期待をせずにはいられなかった。

 昨年末のコミックマーケットで販売された『The Front Line Covers』。初期の曲をアレンジし直したセルフカバーアルバムと言ってしまえばそれまでだが、このアルバムからして既に“原点回帰”の気概が曲を通して感じ取れた。この感じこそが I've Sound なのである。
 果たしてこのアルバムは今回のライブの布石となっているのであろうか、それともこのアルバムは一つの区切りであり、今後は現行のロック調主体で行くのだろうか。そんなことを考えつつライブ当日を迎えた。

 最初にライブ全体を通した感想を書こう。先の『The Front Line Covers』はしっかりと布石になっており、新旧取り混ぜた曲構成は初期からのファンにも、最近聞き始めたファンにもおおむね満足がいく構成だったと思う。無難と言えば無難だが、観客全員が平均的に満足するためのベターな選択だったであろう。当日見に来てくれた観客全員を 100% 満足させることなどは出来ないのだから。
 個人的には「この曲が生で聞けるのか!」と驚いた曲(季節の雫、さよならを教えて、等)もあったし、BLUEMAN GROUP はパフォーマンスもいいが、音楽が気に入ったという高瀬氏のコメントも実際に聴いてみてそれがよくわかったし、満足いく内容であった。
 曲もショートアレンジすることで数を増やし、もの凄いボリューム感があったことも印象に残った。普段やり慣れない曲も含め、トータル 52 もの曲を披露した歌い手とバンドメンバーには敬意を表したい。当日のセットリストはこちらを参照のこと。

 もちろんマイナス点もある。スケジュールの都合だろうが、コンポーザーによる生演奏が 2005 年の武道館に比べ減っていたのは残念だった。私が 2005 年のライブの時にいちばん盛り上がったのはコンポーザー面々による「FUCK ME」だったので、今後こういった機会があれば大変だとは思うが、是非ともコンポーザーによる演奏を増やして欲しいと思う。
 また、時間的な都合からかどうかはわからないが、MELL の時にずっとバックで盛り上げていたゲストの森岡賢氏と、バンドメンバーの紹介が無かったのも残念だった。

 もうひとつ忘れてはならないのは、今回のライブは I've 結成 10 周年記念ということでもある。私は I've としてのデビューと同時ではないが、運良く早い時期に知ることが出来たため、I've を含め、過去に遡ってのユーロビート、トランスユニットの曲もほぼ全部聞いている。そんなこともあって、幸いにも今回のライブは新曲以外は全て知っている曲だった。
 それだけに、一曲一曲聴く度に「この曲が出た頃、自分はあんなことをしていたっけ」とか「この曲はオープニングテーマだけど、エンディングテーマもいいんだよな」などなど、ステージを眺めつつ常に頭の中では今までの想いが巡り、色々な事を考えながらの観覧だった。一般参加客でこれだけ色々なことを考えながら今回のライブを見つめていたのは、おそらく私ぐらいのものであろう。

 そうして一つの節目となるライブは終わったが、冒頭に記述したもう一つのテーマ“未来へと羽ばたいていく”。これは果たして観客に伝わり、“これから”を期待させる内容だったのであろうか。耳に入った感想などはおおむね好評なので、このテーマもまずは伝わったと思う。ただ、コミケで売られた CD など I've の曲は入手しにくいものが多いのもわかるが、最近ファンになった方にこそ以前の曲を聴いて欲しいとは思った。
 しかし、10 周年記念とはいえ映画を制作していたことには驚いた。メジャーの世界に出れば時として畑違いの仕事が舞い込んでくることも多々あるだろう。だが、アンコールまでの間に映画の PR 映像を流すのは水を差された感じで萎えたのは事実だ。PR したいのはわかるが、タイミングを誤ると逆効果になることを考えて欲しかった。

 最後に個人的な展望であるが、1 月 2 日というまさに年頭に掲げた“原点回帰”。自分たちは音楽が好きで始めた信念をこれからも忘れないで欲しい。私が受け取った“これから”が嘘にならないためにも。I've はあくまでサウンドクリエイター集団なのだから。

2009. 1.11 あいだ 記
2009.1.2 日本武道館 正面